こんな疑問に答えます。
この記事では「INXセキュリティトークン」について、特徴や将来性を解説します。
なお、INXセキュリティトークンの購入方法は、こちらの記事で解説しています↓
INXセキュリティトークンの口座開設から購入方法までわかりやすく解説します
それでは、見ていきましょう。
Contents
INXセキュリティトークンとは、「INX証券取引所の発行するNFT化された債券」
INXセキュリティートークンは、仮想通貨ではありません。
INX証券という新興の株式取引所が発行した債券なのです。この債券はNFT化されており、ブロックチェーン上で管理されます。
イメージとしては、NFT化された証券会社の社債のようなものです。
仮想通貨の銘柄で「INX」というものがあります。これらは「InfinitX」や「Insight Protocol」という名称の仮想通貨で、INXセキュリティトークンとはまったくの別物です。
この記事では、INXセキュリティトークンを扱います。紛らわしいので、注意しましょう。
INX証券が発行するトークンなので、「INXセキュリティ(Securities=証券)トークン」と呼ばれます。正式には「INX トークン」という名称ですが、同じ名前の仮想通貨があり混同しやすいです。
そのため日本では、「INX セキュリティトークン」という名称が一般的です。
概要は以下の通りです。
運営団体 | INX LIMITED |
創設者 | Shy Datika氏 |
本拠地 | イスラエル |
トークンの名称 | INX トークン |
トークン保有者数 | 9,100人以上(2022年5月時点) |
まだ新興企業のINX証券ですが、大きな注目を集めています。
その理由は、INX証券が「株式や証券をブロックチェーン上で取引できる証券取引所をつくろうとしているから」。
株式や証券をNFTのようにブロックチェーン上で取引できれば、これまでの証券取引所の常識が変わるほどのインパクトがあるでしょう。
具体的に、証券取引所のブロックチェーン化には、以下のようなメリットがあります。
証券をブロックチェーン化すると、流動性が向上する
既存の証券取引所では、電子株式を取り扱っています。これを、NFT化してブロックチェーン上で扱うと、いまよりも取引のスピードと流動性が向上します。
ブロックチェーン上の証券は、24時間365日いつでも取引が可能
ブロックチェーン上では、取引時間の制約がありません。
いつでも仮想通貨が取引できるように、ブロックチェーン上の証券も24時間365日の取引が可能となります。これにより、始値や終値の概念さえなくなります。
P2P(ピアツーピア)の売買で入金スピードのアップ
売り手と買い手の間で、株式が直接取引されるため、入金のスピードが早くなります。
既存の証券取引所では、売り手→証券会社→取引所と、仲介する人が多いです。そのため、手続きや入金処理に時間がかかります。
たとえば、既存の取引では株式の売却から入金までには、2〜3営業日が必要です。しかし、これをブロックチェーン上で取引した場合、株の売却と同時に着金させることも可能となります。
このように証券のブロックチェーン化には大きなメリットがあるのです。
では、そんな証券市場のブロックチェーン化を進めるINX証券についての特徴をみていきましょう。
INX証券の特徴は、アメリカ証券取引委員会の審査をクリアできた点
INX証券の最大の特徴は、株式公開の正規の手順に沿って資金調達をしている点です。
一般的なクリプト(暗号資産)系のプロジェクトではICO(新規仮想通貨公開)という方法で、投資家から出資を募ります。
「新規仮想通貨公開(Initial Coin Offering)」のこと。第三者による審査は不要。インターネット上で誰でも公募できるため、詐欺案件が横行している。
しかし、ICOでは架空のプロジェクトで投資を募る案件が多く、詐欺被害が多発しています。
これに対して、INXセキュリティトークンはIPO(株式公開)という形で投資家に配布されました。IPOは、企業が株式公開をする時の正式な手続きです。
つまり、INX証券はIPOで必要な公的な審査に合格したうえで、公認の証券として「INXセキュリティトークン」を発行したのです。
IPOに合格するには、SEC(アメリカ証券取引委員会)へ事業計画の目論見書を提出し、厳しい審査をクリアする必要があります。
もちろん、INX証券の目論見書は、この審査をパスしています。以下が、目論見書のリンクです。
INXセキュリティトークンは、一般的な仮想通貨と異なり、アメリカ証券取引委員会から認可を受けた「証券」として扱われます。
「公的機関の認可を受けた事業計画」
これが、INX証券の最大の特徴です。
INX証券では、マネーロンダリング防止や口座の身元確認も必須です。これにより、ブロックチェーン上であっても透明性の高い証券市場をつくろうとしています。
INXセキュリティトークンは、営業利益の一部を受け取れる権利証明書
では、INX証券が発行するINXセキュリティトークンを持つメリットについて説明します。
純営業キャッシュフローの40%が、トークン所有者へ還元される
INX証券の営業活動で得られた純営業キャッシュフローの40%がトークン所有者へ還元されます。トークン所有者は、この40%の利益のうち所有割合に応じて利益を受け取れます。
ただしINX証券が赤字の年度では、利益分配は実施されません。
トークン所有者は、INX証券取引所での10%の手数料割引が受けられる
INXセキュリティトークンは、INX証券の取引手数料の支払いに使用することもできます。他の支払い方法と比較して、最低でも10%の割引を受けることができます。
INXセキュリティトークンの価格が将来的に変動する可能性がある
株式のように、INXセキュリティトークン自体の価格も変動制です。INX証券の企業価値に連動してトークンの価値も上下します。
ただし、今のところINXセキュリティートークンの公開市場はありません。そのため、二次取引はINX証券の自社マーケット内で行われます。
INXセキュリティトークンの将来性は? 素晴らしい青写真と怪しい財務状況
ここでは、INXセキュリティトークンの将来性を解説します。
INXの事業計画は壮大で期待感が膨らむ一方、それと同じくらいの不安要素も抱えています。投資家は、市場の期待感だけに流されず、冷静に見極める必要があります。
ここでは、INXの将来性に影響を与える良いニュースと悪いニュースをお伝えします。
良い話 証券のブロックチェーン化という革新性とSECに承認された事業計画
NFTの盛り上がりにより、証券や証書のブロックチェーン化には大きな関心が集まっています。
そのなかで、INX証券が掲げるビジョンは壮大です。もしブロックチェーン上で取引できるINX証券取引所が誕生すれば、既存の金融は大きな転換点を迎えるでしょう。
加えて、「SECから承認を受けた事業計画」という点も強みです。クリプトのスタートアップには、資金面や運営面で不透明な団体も多いです。その一方、INXの証券は、目論見書や独立監査機関によって、活動の透明性を高めています。
良い話 既存の証券取引市場の規模は、仮想通貨市場よりもはるかに大きい
仮想通貨市場よりも、桁違いに大きいのが証券市場です。
たとえば、以下のような証券や債券は証券市場で取引されています。
- 上場企業の株式
- 不動産証券
- 債権
- 手形
- 新興企業の未公開株
これらの証券が、すべてブロックチェーン上で取引されるようになれば、仮想通貨市場よりも大きなマーケットが誕生します。
証券のブロックチェーン化には、大きなポテンシャルがあるのです。
悪い話 INX LIMITEDの財務体制に不安がある
独立監査法人からINXの財務体制について、「重大な疑義」が示されています。なぜなら、2017年9月の設立以降赤字が続いており、累積債務が積み重なっている状態だからです。
INXの会社規模は小さいため、壮大な事業計画を実行できるか不透明です。計画を進めた結果、財務状況がさらに悪化するリスクもあります。
また、INXは設立したばかりの会社であり、過去の営業実績もありません。既存の証券取引所にある多数の銘柄をブロックチェーン上の証券取引所へ移籍させられるのか不安が残ります。
悪い話 現状のINXセキュリティトークンには流動性がない
現時点では、INXセキュリティトークンを手放そうと思っても、簡単に手放せません。INXセキュリティトークンの買い手の数が圧倒的に少ないからです。
加えて、このトークンは一般の株式市場や仮想通貨取引所での取り扱いの予定はありません。INXが提供する自社のマーケット内でしか売買できないのです。
そのため、いまの時点でこのトークンを手に入れても、手放すことは容易ではありません。
「債券の流動性をブロックチェーンでスムーズにする」というのが、INXのビジョンです。しかし、それを実現させるには、皆がブロックチェーン技術を使いこなせる必要があります。
しかし、それにはかなりの時間がかかるでしょう。
それまでの間、INXセキュリティトークンは、「収益を生まず、売りたくても手放せないトークン」であり続けます。
安易にINXセキュリティトークンを保有すべきではありません。
不確実性が高く、INXセキュリティトークンの資産価値が0になるリスクもある
INXのビジョンは前例がなく、成功するかはまったくわかりません。INX証券の目論見書では「事業計画が失敗し、セキュリティトークンの価値が0となるリスクもある」としています。
具体的に考えられるのは、次のようなリスクです。
ブロックチェーンの潮流の変化
ブロックチェーン技術は、目まぐるしい速度で進化しています。また、今後の予想が立てづらいことも特徴です。
将来的に、いまのブロックチェーンよりも革新的な技術が主流になる可能性もあります。そのため、INX証券のビジョンには、不確定要素が多く存在します。
各国の法改正による事業リスク
ブロックチェーン上の証券取引について、各国の法整備はまったく追いついていません。ブロックチェーン上で証券を取引するには、法律的な裏付けが必要となります。
もし各国が証券のブロックチェーン化を制限する方向に動くと、INX証券の事業計画に大きな狂いが生じます。
バグやハッキングによるリスク
バグやハッキングのリスクは、0にはできません。もし、巨大な証券市場でハッキングが発生すると、その影響は計り知れません。
INX証券でも万が一にそなえて現金の積立をしているものの、システム全体に影響を与えるようなエラーには対応ができないでしょう。
証券のブロックチェーン化という業界再編を達成できるかに注目
ここまでINX証券の特徴と将来性について、解説をしました。
壮大なビジョンである一方で、既存の金融業界を再編するようなプロジェクトで困難が予想されます。
なお、INXセキュリティトークンの購入方法は、こちらの記事で解説しています↓
INXセキュリティトークンの口座開設から購入方法までわかりやすく解説します
INX証券の今後の運営に注目をしましょう。
今回は、以上です。
参考サイト:INX証券公式サイト
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